友達にあいにゆく。片道2時間の列車の旅である。いい天気に加えて桜も見ごろ。うす桃色が次々と目に飛び込んでくる。これがショッキングピンクだったら、こうも情緒的な気分にならないだろうなあ。若々しい緑色の合間に見えるタンポポと菜の花の黄色も鮮やか。畑仕事のじいさん、布団が干されているうち、空き地で遊ぶこども、川でレガッタをする学生、桜の下にお行儀よく集うお年寄り、次々と絵本(かこさとしみたいな)をめくって行くようだった。駅に着くと友達が待っていてくれて車で家まで。あれもこれも話そうと思っていたのに言葉はすっかり心の中にしまわれてしまった。ここに根を張って生きて行くんだなあと思った。